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募集・採用

求人広告のチェックポイント

年齢制限の禁止

間接差別の禁止
募集採用の男女差別禁止

その他の募集採用時の注意事項


求人広告のチェックポイント

求職活動をするにあたって、まずやることは求人の募集を探すことです。ハローワークでの求人募集の閲覧をはじめ、その情報収集にはさまざまな方法がありますが、最も一般的で利用しやすいのは新聞の求人広告欄や求人チラシではないでしょうか。それらの求人広告を見るうえでのちょっとしたチェックポイントをあげてみます。

  1. 職種…「一般事務」や「販売」などの聴き慣れた職種でも、具体的な仕事内容を確認する。カタカナの職種は特に注意する。

  2. 身分…パートなのか、アルバイトなのか、派遣なのかをしっかりと確認する。準社員、契約社員、嘱託社員などと書かれている場合は、実際の働き方がどのようなものであるのかを電話などで詳しく聞く。雇用契約ではなく、請負契約 ( または業務委託契約 ) になっていないかを確認する。 請負契約 ( または業務委託契約 ) の場合は、被雇用者ではなく個人事業主の扱いとなり、勤務時間が定められていたり、他人の指揮命令を受けることはない。また、雇用されていないので、労災保険、雇用保険、健康保険、厚生年金保険の適用がない。しかし、実態は勤務時間の設定や指揮命令はあるが、各種保険の加入はさせないという事業主がいる。

    請負契約とは、発注者と受注者 ( 請負業者 ) との間で交わされる契約をいう。受注者が発注者から依頼された一定の仕事を完成させたことに対して、発注者がその報酬を支払うというもの。

    業務委託契約とは、請負契約同様、発注者と受注者との間で交わされる契約をいうが、受注者の一定の労務の提供に対して発注者から報酬が支払われるという点が異なる。

  3. 年齢…年齢制限があり、自分の年齢がオーバーしていても、どうしてもやってみたい仕事であればダメモトでチャレンジしてみる。 年齢を重視する企業もあれば、単なる目安と考えている企業もあり、年齢がオーバーしていてもやる気を買われて採用されることもある。「経験者優遇」と書かれている場合も同様。

  4. 給与…「時給800円以上」などとあるのは、未経験者が800円で、経験者は+αになる可能性があるということ。 ( ただし、その判断をするのはあくまで企業側。 ) また、固定給と歩合給が合算されている場合は、入社一定期間後、固定給がなくなることもあるので注意する。固定給がなくなる場合は最低賃金を下回ることにならないか、念のため確認する。

  5. 勤務先…面接会場と仕事場所が同じとは限らない。なるべく仕事場所を実際に見学できる方が良い。

  6. 各種社会保険完備…広義で労災保険、雇用保険、健康保険、厚生年金保険のことを社会保険 ( 社保 ) といい、「加入できる状態にある」という意味。ただし、「社保完」と書かれていても実際に加入させてもらえない場合もあるので、直接担当者に聞いて確認する。狭義では健康保険と厚生年金保険のみを指していうが、この場合、労災保険と雇用保険のことを労働保険という。

  7. 正社員登用制度有…正社員登用の条件を面接時に確認する。正社員になるつもりがなくても後で気持ちが変わるかもしれないので、採用の場合は登用条件の内容をなるべく文書で残しておく。

  8. ホームページ…企業のホームページがある場合はチェックしておく。広告には書ききれない企業の情報がたくさん掲載されていることが多いので、面接の際の話題にも利用でき、積極性をアピールできる。

  9. 委細面談の上…「詳しい労働条件は面接時に」という意味。広告スペースが足りなくて書ききれないのか、公にするとコンプライアンスの面で問題があるのかの判断が難しいので注意が必要。

  10. 掲載回数が多い…長期間にわたって同じ企業がずっと求人広告を出している場合は、一概には言えないが、なんらかの問題があって採用された人がすぐにやめてしまい、労働者の定着性が低い可能性もあるので気をつける。






年齢制限の禁止

改正雇用対策法では、07年10月から労働者の募集採用の際に、原則として年齢制限を禁止することとなりました。事業主が職安を利用する場合はもちろんのこと、民間の職業紹介事業者や求人広告を利用して募集採用する場合や直接募集採用する場合にも適用されます。よって、年齢で応募者を判別するのではなく、適性、能力、経験、技能の程度によって判別することになるため、事業主が求めるそれらの事項についてはっきりとわかりやすく示すことが必要となります。その一方で、合理的な理由があるものに限り、例外的に年齢制限が認められる場合もあります。

事業主が募集採用する際のとるべき措置
@「年齢制限が許される例外」を除いて、労働者の年齢を理由として募集採用の対象からはずしてはならない。(=年齢制限禁止)

A職務内容に適した労働者を雇い入れたり、個々の労働者がその能力を存分に生かせる職業を選択できるようにするために、職務内容やそれに必要な能力や経験などに関する事項をできるだけ詳しく明示する。

年齢制限が許される例外は、以下の6項目あります。例外として認められるには、事業主がそのことについて職業紹介機関(ハローワーク、民間の職業紹介機関、学校など)や求職者、求人募集をする広告媒体に対して説明できる合理的な理由があることが必要です。

年齢制限が許される例外
@定年年齢を上限として、この上限年齢未満の労働者を期間の定めのない労働契約で募集採用する場合

A労働基準法などの法令によって年齢制限がある場合

B長期勤続によるキャリア形成を図る点から若年者などを期間の定めのない労働契約で募集採用する場合

C技能・ノウハウの継承の点から、特定の職種について労働者数が特に少ない年齢層に限定して期間の定めのない労働契約の募集採用をする場合

D芸術・芸能分野で要請がある場合

E60歳以上の高年齢者や特定の年齢層の雇用を促進する国の施策(雇入れ助成金など)を活用するため、その対象者に限定して募集採用する場合



また、「年齢制限の例外」の6項目のいずれかに当てはまるとして募集採用時に年齢制限をする場合は、事業主はその理由について高年齢者雇用安定法第18条の2第1項で年齢制限の具体的な理由を書面やメール、FAX、ホームページなどによって提示することが義務付けられており、新聞・雑誌などに求人広告を出す際にも心がけるよう呼びかけています。ただし、新聞・雑誌などに求人広告を出す際に、紙面の制約によって多くの情報を掲載することが難しいときや、口頭で募集採用をするときは、事業主は求職者の求めに応じて書面を交付したり、メールやFAXで送信したり、ホームページなどに提示することで求職者が書面をプリントアウトするなどして受け取れるようにすることも可能です。





間接差別の禁止

憲法第14条では「すべて国民は法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分または門地により、政治的、経済的または社会的関係において差別されない。」と定めており、これを法の下の平等と呼んでいます。「すべての国民は性別によって差別されない」というのは男女差別の禁止を表しています。つまり、同じ仕事をしているにもかかわらず、女性であるというだけで賃金を低くしたり、昇進させないといったことは憲法違反になります。

直接差別と間接差別

直接差別とはたとえば募集・採用の際に「女性は事務、パート」、「男性は営業、正社員」などと明らかに男女差別を示すやり方のことです。一方間接差別とは、一見公正な方法のように見えても結果的に男女差別につながるようなやり方のことをいいます。たとえば採用の条件として「身長170センチ以上、体重60キログラム以上」などと定めた場合はおのずと女性に比べて体格のいい男性が多くなるため、実際の職務内容に深く関係し、その条件を設定するための納得できる理由がない場合は間接差別と判断されます。他にも、たとえば転居をともなう全国転勤を条件としたり、一定の学歴・学部卒であること、福利厚生の適用や家族手当の支給からパート主婦を除外するなど(職務関連性・合理性・正当性が認められる場合を除く)が間接差別と判断されます。


間接差別

雇用の分野における性別に関する間接差別とは以下のような状況の下で講ずる措置をいいます。

間接差別
@性別以外の事由を要件としている。
A男性(女性)と比較して、女性(男性)に相当程度の不利益を与えている。
B合理的な理由がない。

@の性別以外の事由とは、男性、女性という性別に基づく措置ではなく、外見上は性中立的な規定、基準、慣行などで、一見中立的に見えて結果的には男女で大きな差が出てしまうような条件をいいます。Aは構成員の比率が男女でかなり異なることをいいます。Bの合理的な理由とは、措置の対象となる業務の性質に照らして措置をとることが業務の遂行上特に必要である場合、措置をとることが雇用管理上特に必要である場合をいいます。そして、改正男女雇用機会均等法では募集採用時の間接差別として以下の2点が加えられました。

募集採用時の間接差別の禁止
A…募集・採用時の身長・体重・体力要件の禁止
B…総合職採用時の全国転勤要件の禁止

A…身長・体重・体力要件を選考基準としている例
@募集・採用をする際に身長・体重・体力要件を満たしている者のみを対象とする。
A採用基準に身長・体重・体力要件が含まれている。
B身長・体重・体力要件を満たしている者については、採用選考において平均的な評価があれば採用するが、要件を満たしていない者は、特に優秀という評価がなければその対象としない。

A…合理的な理由がない例
@荷物運搬の業務を行うために必要な筋力より強い筋力があることを要件とする。
A荷物運搬の業務ではあるが、運搬のための設備・機械が導入されており、通常の作業において必ずしも筋力が必要とはならないのに、一定以上の筋力があることを要件とする。
B単なる受付や出入者のチェックのみを行うなどの防犯目的ではない警備員の業務で、身長または体重が一定以上であることを要件とする。

B…転勤要件を選考基準としている例
@総合職の募集・採用をする際に転居が必要な転勤ができる者のみを対象とする。
A総合職の採用基準に転勤要件が含まれている。

B…合理的な理由がない例
@広域展開する支店・支社がなく、かつ、支店・支社を広域展開する計画等もない。
A広域展開する支店・支社はあるが、長期間にわたって家庭の事情や特別な事情により本人が転勤を希望した場合を除いて、転居を伴う転勤の実態がほとんどない。
B広域展開する支店・支社はあるが、異なる地域の支店・支社で管理者としての経験を積むこと、生産現場の業務を経験すること、地域の特殊性を経験することなどが幹部としての能力の育成・確保に特に必要でないことに加えて、組織運営上、転居を伴う転勤を含む人事ローテーションを行うことも特に必要でない。





募集・採用の男女差別禁止

男女雇用機会均等法第5条では「事業主は労働者の募集及び採用について、その性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならない。」と定めています。どのような場合に性別を理由とした差別になるかについては指針で具体的に定められています。

違法
A…募集・採用をする際に、その対象から男女のいずれかを排除する。
B…募集・採用の条件を男女で異なるものとする。
C…採用選考において、能力や資質の有無などを判断するための方法や基準について男女で異なる取扱いをする。
D…募集・採用の際に男女のいずれかを優先する。
E…求人の内容の説明など募集・採用の情報提供について、男女で異なる取扱いをする。

A…排除していると認められる例
@ 一定の職種(いわゆる「総合職」、「一般職」等を含む。)や一定の雇用形態(いわゆる「正社員」、「パートタイム労働者」等を含む。)について、募集又は採用の対象を男女のいずれかのみとすること。
A 募集又は採用に当たって、男女のいずれかを表す職種の名称を用い(対象を男女のいずれかのみとしないことが明らかである場合を除く。)、又は「男性歓迎」、「女性向きの種」等の表示を行うこと。
B 男女をともに募集の対象としているにもかかわらず、応募の受付や採用の対象を男女のいずれかのみとすること。
C 派遣元事業主が、一定の職種について派遣労働者になろうとする者を登録させるに当たって、その対象を男女のいずれかのみとすること。

B…異なるものとしていると認められる例
募集又は採用に当たって、女性についてのみ、未婚者であること、子を有していないこと、自宅から通勤すること等を条件とし、又はこれらの条件を満たす者を優先すること。

C…異なる取扱いをしていると認められる例
@ 募集又は採用に当たって実施する筆記試験や面接試験の合格基準を男女で異なるものとすること。
A 男女で異なる採用試験を実施すること。
B 男女のいずれかについてのみ、採用試験を実施すること。
C 採用面接に際して、結婚の予定の有無、子供が生まれた場合の継続就労の希望の有無等一定の事項について女性に対してのみ質問すること

D…男女のいずれかを優先していると認められる例
@ 採用選考に当たって、採用の基準を満たす者の中から男女のいずれかを優先して採用すること。
A 男女別の採用予定人数を設定し、これを明示して、募集すること。又は、設定した人数に従って採用すること。
B 男女のいずれかについて採用する最低の人数を設定して募集すること。
C 男性の選考を終了した後で女性を選考すること。

E…異なる取扱いをしていると認められる例
@ 会社の概要等に関する資料を送付する対象を男女のいずれかのみとし、又は資料の内容、送付時期等を男女で異なるものとすること。
A 求人の内容等に関する説明会を実施するに当たって、その対象を男女のいずれかのみとし、又は説明会を実施する時期を男女で異なるものとすること。


募集・採用に関するポジティブアクション

女性が男性と比較してかなり少ない業務などの人材を増やすために女性を募集採用するに当たって、以下の措置をとることはポジティブアクションとみなされ、均等法違反とはなりません。

合法
@情報提供について女性に有利な扱いをすること
A採用基準を満たす者の中から男性よりも女性を優先して採用すること
Bその他男性よりも女性に有利な扱いをすること




その他の募集採用時の注意事項

募集採用時の優先的雇用

パート指針では、事業主が正社員を中途採用しようとしていて、すでに同種の業務に従事しているパート主婦が存在し、そのパート主婦が希望する場合は優先的に雇用するよう努力義務が課されています。同じ仕事であればわざわざ正社員を雇うのではなく、現に働いているパート主婦を正社員にしましょうという意味です。

正社員への転換条件の整備

パート指針では、パート主婦が正社員への転換を希望していて、その能力も持ち合わせていると判断される場合で、事業主とパート主婦のニーズが合致するときは、このパート主婦が正社員へ転換できるような制度を導入することや必要な条件の整備に努めるよう促しています。



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