就業規則
就業規則の作成義務
就業規則とは、社内での一定のルールを確立するため、使用者が労働者の賃金や労働時間などの労働条件や、服務規律とそれに違反した際の制裁規定などについて定めた規則のことをいい、「従業員服務規程」や「社則」などと呼ばれることもあります。労働基準法第89条では、「常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成し、行政官庁
( 労働基準監督署 ) に届け出なければならない。就業規則を変更した場合においても、同様とする」と定めています。 これに違反すると、30万円以下の罰金に処せられます。10人以上の労働者には当然、パート主婦も含まれます。この場合、対象労働者が加入する労働組合や労働者の過半数代表者の意見を聴くことが義務となっています。パート労働者専用の就業規則を作成・変更する場合には、パート労働者の過半数が加入する労働組合、またはパート労働者の過半数から選任された代表者の意見を聴くよう努めなければならないとしています。
( パートタイム労働法第7条・パートタイム指針 ( パート指針 ) 第三の ( 二 ) の ロ )
さらに、労働基準法第92条1項では、就業規則は法令や労働協約に違反してはならないと規定しています。就業規則は労働者の意見を聴取して使用者が作成・変更するものですが、必ずしも労働者の意見が聞き入れられなくても違反とはならないため、その内容について法令や労働協約という下限を設けているのです。ちなみに法令とは、法律、命令、条例、規則を指します。また、93条では就業規則の基準に達しない労働条件を定める労働契約を無効としています。無効になった労働条件に関しては、就業規則で定める労働条件が適用されます。
就業規則の内容
就業規則の内容は大きく次の3つに分類することができます。パート主婦で職場の就業規則を見たことがない方は、1度中をご覧になって、どのようなことが書いてあるかぜひ確認してみてください。絶対的必要事項の記載があるかどうか、決まりがあるにもかわらず、相対的必要事項の記載がないものがないか、これを機会にチェックしてみましょう。
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絶対的必要記載事項
絶対的必要記載事項とは、就業規則に必ず明記しなければならないことで、以下の項目をいいます。
@始業・終業の時間について |
Cシフト制を採用する場合はシフト制について |
A休憩時間について |
D賃金について ( 決定方法、計算方法、支払方法、締切と支払の時期 )
昇給について |
B休日・休暇について |
E退職 ( 解雇を含む ) について |
Bの休暇は、生理休暇や産前産後休暇、看護休暇、年次有給休暇のほか、育児休業と介護休業も含まれるので、対象労働者の範囲や付与条件、手続き、日数
( 期間 ) について、労働協約や労働法を下回らない範囲で定める必要があります。また、これら法令で定められているもの以外にも、特別休暇として結婚休暇、忌引休暇などがあります。
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相対的必要記載事項
相対的必要記載事項とは、社内で特別の定めをする場合、または職場の慣行や内規がある場合は必ず明記しなければならないことで、以下の項目をいいます。
@退職金について
( 対象労働者の範囲、決定方法、計算方法、支払方法、支払時期 ) |
D職業訓練について |
A ボーナスなどについて・最低賃金額について |
E災害補償について・業務外の傷病扶助について |
B労働者負担の食費・作業用品について |
F表彰・制裁について |
C安全・衛生について |
G労働者全員に適用されることについて |
Gの労働者全員に適用されることとは、遅刻・早退、欠勤、外出、出張、宿直・日直、休職、異動、福利厚生などです。
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任意的記載事項
任意的記載事項とは、絶対的必要記載事項と相対的必要記載事項に該当せず、記載するかどうかは使用者の自由な内容のことで、例として、以下ののようなものを指します。
@規則制定の目的について |
C職種について |
A趣旨について |
D職階について |
B従業員の心得について |
E改正手続きについて |
就業規則の周知義務
周知義務とはその名のとおり、周りに知らせておく義務です。つまり、会社の従業員であれば、誰でもいつでも就業規則を見ることができるようにしておかなければならないという意味です。労働基準法第106条ではその義務を定めています。職場のルールを確立させるため、パート主婦を含む従業員にその内容を知らせておくことは極めて重要なことです。就業規則の周知義務に違反すると、30万円以下の罰金に処せられます。周知方法は以下のとおりです。
@常に社内の見やすい場所に掲示する。
A常に社内の見やすい場所に備え付ける。
Bパート主婦を含む対象労働者全員に書面を配る。
CフロッピーディスクやCD−ROMなどに記録して、その内容をパート主婦を含む対象労働者が、パソコンなどで常に確認できるようにしておく。
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