男女雇用機会均等法第6条では事業主は、以下の項目について「労働者の性別を理由として差別的取扱いをしてはならない。」と定めています。どのような場合に性別を理由とした差別をしたことになるのでしょうか。 07年4月から施行された改正男女雇用機会均等法では新たに男性に対する差別も禁止され、労働者の配置(業務の配分、権限の付与を含む)、昇進および降格、教育訓練、住宅資金の貸付その他これに準ずる福利厚生の措置で省令で定めるもの、労働者の職種および雇用形態の変更、退職勧奨、定年、解雇、労働契約の更新のそれぞれについて細かく定められています。
違法
A…一定の職務への配置に当たって、その対象から男女のいずれかを排除する。
B…一定の職務への配置に当たっての条件を男女で異なるものとする。
C…一定の職務への配置に当たって、能力及び資質の有無等を判断する場合に、その方法や基準について男女で異なる取扱いをする。
D…一定の職務への配置に当たって、男女のいずれかを優先する。
E…配置における業務の配分に当たって、男女で異なる取扱いをする。
F…配置における権限の付与に当たって、男女で異なる取扱いをする。
G…配置転換に当たって、男女で異なる取扱いをする。
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A…排除している例
@ 営業の職務、秘書の職務、企画立案業務を内容とする職務、定型的な事務処理業務を内容とする職務、海外で勤務する職務等一定の職務への配置に当たって、その対象を男女のいずれかのみとする。
A 時間外労働や深夜業の多い職務への配置に当たって、その対象を男性のみとする。
B 派遣元事業主が、一定の労働者派遣契約に基づく労働者派遣について、その対象を男女のいずれかのみとする。
C 一定の職務への配置の資格についての試験について、その受験資格を男女のいずれかに対してのみ与える。
B…異なるものとしている例
@ 女性についてのみ、婚姻したこと、一定の年齢に達したこと又は子供がいることを理由として、企画立案業務を内容とする職務への配置の対象から排除する。
A 男性については、一定数の支店の勤務を経た場合に本社の経営企画部門に配置するが、女性については、一定数を上回る数の支店の勤務を経なければ配置しない。
B 一定の職務への配置に当たって、女性についてのみ、一定の国家資格の取得や研修の実績を条件とする。
C 営業部門について、男性については全員配置の対象とするが、女性については希望者のみを配置の対象とする。
C…異なる取扱いをしている例
@ 一定の職務への配置に当たり、人事考課を考慮する場合において、男性は平均的な評価がなされている場合にはその対象とするが、女性は特に優秀という評価がなされていなければその対象としない。
A 一定の職務への配置の資格試験の合格基準を男女で異なるものとする。
B 一定の職務への配置の資格の受験を男女のいずれかに対してのみ奨励する。
D…優先している例
営業部門への配置の基準を満たす労働者が複数いる場合に、男性を優先して配置する。
E…異なる取扱いをしている例
@ 営業部門において、男性には外勤業務に従事させるが、女性については内勤業務のみに従事させる。
A 男性には通常業務のみに従事させるが、女性については通常業務に加え、会議の庶務、お茶くみ、そうじ当番等の雑務を行わせる。
F…異なる取扱いをしている例
@ 男性には一定金額まで自己の責任で買い付けできる権限を与えるが、女性には男性よりも低い金額までの権限しか与えない。
A 営業部門において、男性には新規に顧客の開拓や商品の提案をする権限を与えるが、女性にはこれらの権限を与えず、既存の顧客や商品の販売をする権限しか与えない。
G…異なる取扱いをしている例
@ 経営の合理化に際し、女性についてのみ出向対象とする。
A 一定の年齢以上の女性のみを出向対象とする。
B 女性についてのみ、婚姻又は子供がいることを理由として、通勤が不便な事業場に配置転換する。
C 工場を閉鎖する場合に、男性については近隣の工場に配置するが、女性については通勤が不便な遠隔地の工場に配置する。
D 男性は複数の部門に配置するが、女性は当初の配置部門から他部門に配置転換しない。
女性の人数が男性の人数と比較して著しく少ない各部署などの管理区分に労働者を新たに配置する場合に、事業主が女性の人数を増やすことを目的として女性に優遇措置をとることは違法ではありません。指針で示されている具体的な例は以下のとおりです。
合法
@資格試験の受験を女性のみについて奨励する。
A配置基準を満たす者の中から女性を優先して配置する。
Bその他男性よりも女性に有利な扱いをする。
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男女雇用機会均等法の指針では、昇進に関する性別による差別の禁止は以下のように定められています。
違法
A…一定の役職への昇進に当たって、その対象から男女のいずれかを排除する。
B…一定の役職への昇進に当たっての条件を男女で異なるものとする。
C…一定の役職への昇進に当たって、能力及び資質の有無等を判断する場合に、その方法や基準について男女で異なる取扱いをする。
D…一定の役職への昇進に当たり男女のいずれかを優先する。
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A…排除している例
@ 女性についてのみ、役職への昇進の機会を与えない、又は一定の役職までしか昇進できないものとする。
A 一定の役職への昇進試験について、その受験資格を男女のいずれかに対してのみ与える。
B…異なるものとしている例
@ 女性についてのみ、婚姻したこと、一定の年齢に達したこと又は子供がいることを理由として、昇格できない、又は一定の役職までしか昇進できないものとする。
A 課長への昇進に当たり、女性については課長補佐を経なければならないとする一方、男性については課長補佐を経ずに課長に昇進できるものとする。
B 男性については出勤率が一定の率以上である場合又は一定の勤続年数を経た場合に昇格させるが、女性についてはこれらを超える出勤率又は勤続年数がなければ昇格できないものとする。
C 一定の役職への昇進試験について、女性にのみ上司の推薦を受けることを受験の条件とする。
C…異なる取扱いをしている例
@ 課長への昇進試験の合格基準を男女で異なるものとする。
A 男性については人事考課において平均的な評価がなされている場合には昇進させるが、女性については特に優秀という評価がなされていなければその対象としない。
B AからEまでの5段階の人事考課制度を設けている場合において、男性については最低の評価であってもCランクとする一方、女性については最高の評価であってもCランクとする運用を行う。
C 一定年齢に達した男性については全員役職に昇進できるように人事考課を行うものとするが、女性者についてはそのような取扱いをしない。
D 一定の役職への昇進試験について、男女のいずれかについてのみその一部を免除する。
E 一定の役職への昇進試験の受験を男女のいずれかに対してのみ奨励する。
D…優先している例
一定の役職への昇進基準を満たす労働者が複数いる場合に、男性を優先して昇進させる。
女性の人数が男性の人数と比較して著しく少ない役職への昇進について、事業主が女性の人数を増やすことを目的として女性に優遇措置をとることは違法ではありません。男女雇用機会均等法の指針による具体的な例は以下のとおりです。
合法
@昇進のための試験の受験を女性のみに奨励する。
A昇進の基準を満たす労働者の中から男性より女性を優先して昇進させる。
Bその他男性よりも女性に有利な扱いをする。
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昇進に関する間接差別
昇進に関する間接差別とは、 労働者の昇進の際に、転勤の経験があることを要件とすることをいいます。一定の役職へ昇進するのに、転勤経験があることを選考基準に入れるのです。指針では以下のような具体例を示しています。
転勤経験要件を選考基準としている例
@一定の役職への昇進を転勤の経験がある者のみを対象とする。
A昇進の基準の中に転勤経験要件が含まれている。
B転勤経験がある者については、一定の役職への昇進の選考において平均的な評価があれば昇進の対象とするが、転勤経験がない者については、特に優秀という評価がないとその対象としない。
C転勤経験がある者だけ昇進試験を全部または一部免除する。
合理的な理由がない例
@広域展開する支店や支社がある企業で本社の課長に昇進するときに、本社の課長の業務をする上で、異なる地域の支店や支社での勤務経験が特に必要であるとは認められず、かつ、転居が必要な転勤を含む人事ローテーションを行うことが特に必要であるとも認められないのに、転居が必要な転勤経験があることを要件とする。
Aある支店の管理職をする上で別の支店での勤務経験が特に必要とは認められないのに、別の支店での経験があることをこの管理職への昇進要件とする。
降格に関する性別による差別の禁止は以下のように定められています。
違法
A…降格に当たって、その対象を男女のいずれかのみとする。
B…降格に当たっての条件を男女で異なるものとする。
C…降格に当たって、能力及び資質の有無等を判断する場合に、その方法や基準について男女で異なる取扱いをする。
D…降格に当たって、男女のいずれかを優先する。
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A…男女のいずれかのみとしている例
一定の役職を廃止するに際して、役職に就いていた男性については同格の役職に配置転換をするが、女性については降格させる。
B…異なるものとしている例
女性についてのみ、婚姻又は子供がいることを理由として、降格の対象とする。
C…異なる取扱いをしている例
@ 営業成績が悪い者について降格の対象とする旨の方針を定めている場合に、男性については営業成績が最低の者のみを降格の対象とするが、女性については営業成績が平均以下の者は降格の対象とする。
A 一定の役職を廃止するに際して、降格の対象となる労働者を選定するに当たり、人事考課を考慮する場合に、男性については最低の評価がなされている者のみ降格の対象とするが、女性については特に優秀という評価がなされている者以外は降格の対象とする。
D…優先している例
一定の役職を廃止するに際して、降格の対象となる労働者を選定するに当たって、男性よりも優先して、女性を降格の対象とする。
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