パート主婦の仕事中・通勤途中の事故によるケガ・障害・死亡、仕事に起因する病気に対する補償  
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労災保険


労災保険の対象

労災保険の給付の種類

Q&A


労災保険の対象

労災保険とは労働者災害補償保険法で定められており、仕事が原因で発生した労働災害に対して労働者に保険給付を行う制度です。正社員、パート主婦に関わらず、仕事が原因でケガをしたり、病気になったり、ひどいものでは障害が残ったり、死亡したりした場合に、使用者がすべての責任を負ってその保障をするとなると会社の経営が困難になる可能性が生じるため、会社にかわって国が保険制度の保険者としてかわりに補償を行うというものです。保険料は事業主が負担するので労働者が支払う必要はありません。労災保険では仕事中の災害だけでなく、通勤途中の災害や、二次健康診断に対しても保険給付を行います。


業務起因性と業務遂行性

仕事中の事故や仕事内容が原因で起こったケガや病気であるかどうかの判断は労働基準監督署長が業務起因性と業務遂行性の有無で決定します。業務起因性とは仕事内容と事故との間に客観的な相当因果関係があることをいいます。たとえば、プレス機械の作業中に機械に指を挟まれた場合、機械を使用しなければ指を挟まれることはなかったので、仕事内容と事故の間に因果関係が存在すると判断されます。業務遂行性とは労働者が労働契約に基づく事業主の支配下にあることをいいます。 ( 作業中、作業の準備中、後片付け中、職場内で過ごす休憩時間中など )


通勤の定義

労働者災害補償保険法第7条2項では

「通勤とは労働者が就業に関し、次に掲げる移動を合理的な経路及び方法により往復することをいい、業務の性質を有するものを除くものとする。
@住居から就業の場所への移動
A就業の場所から他の就業の場所への移動
B住居間の移動 」

と定めています。要約すると、通勤とは、通常考えられる道を通って通常利用すると思われる交通機関を使って、仕事をするために@家と会社、A会社と会社、B単身赴任先の家と本宅を往復する行為であるということです。

ただし、家に関しては勤務上の都合や台風などの自然現象の事情によって、やむをえずホテルなどに宿泊する場合のホテルなども「住居」であると判断されたり、参加が強制されている運動会の会場や商品をお客様のところへ届けてそのまま直帰する場合の届け先が「就業の場所」と判断されており、労働者の個人的行為が大部分を占めない限り、実態に応じて比較的柔軟な判断がされているようです。


通勤途中の寄り道

通勤途中に買い物をしたり、用事を済ませることは日常でよくあることです。パート主婦の中には仕事帰りの買い物が1日のスケジュールに入っている方も多くいらっしゃるでしょう。このような行為を労災法では通勤途上の「逸脱と中断」と呼んでいます。逸脱とは通勤とは関係のない目的で、その行き道(帰り道)をそれることをいいます。中断とは通勤の途中で、通勤とは関係のないことをすることをいいます。

原則的にはこの逸脱と中断があった場合は、その逸脱・中断の間とその後は通勤扱いされません。
ただし、例外的に日常生活上必要な行為として、日用品を買ったり、選挙に投票に行ったり、病院や診療所で診察や治療を受けたりする場合は逸脱・中断していると判断されますが、その逸脱・中断以外は通勤途中と認められます。逆に以下のような行為は逸脱・中断とはされず、通勤途中の範囲内とされます。

@通勤経路の近くにある公衆トイレを利用する場合
A通勤経路上で新聞、雑誌を買う場合
B駅構内でのジュースの立ち飲み
C通勤経路の近くの公園でちょっと休憩する場合




労災保険の給付の種類

労災保険の種類

労災保険 仕事中



災害
療養補償給付
休業補償給付
障害補償給付
遺族補償給付
葬祭料
傷病補償年金
介護補償給付
通勤途中



災害
療養給付
休業給付
障害給付
遺族給付
葬祭給付
傷病年金
介護給付



療養補償給付と療養給付

療養補償給付とは仕事中に起こった事故が原因の怪我や、仕事が原因で起こった病気の治療のことをいいます。療養給付は通勤途中の事故によるものをいいます。治療はケガや病気が治るまでまたは死亡するまで病院・診療所などで無料で行われます。給付の範囲は以下のとおりです。

@ 診察
A 薬剤・治療材料の支給
B 処置・手術その他の治療
C 在宅療養の管理・それに伴う世話・看護
D 病院・診療所への入院・それに伴う世話・看護
E 移送


休業補償給付と休業給付

休業補償給付とは仕事中に起こった事故が原因の怪我や、仕事が原因で起こった病気の治療のために働くことができず、その期間の賃金を受けていない場合に給付されます。休業給付は通勤途中の事故によるものをいいます。給付は休業の4日目からおこなわれ、最初の3日間は待機期間として給付されません。この期間は労働基準法第76条の災害補償に基づいて事業主が支払うことになります。給付金額は1日につき給付基礎日額の6割、事業主による補償額は平均賃金の6割となっています。

さらに休業補償給付(休業給付)の受給権者が申請すると2割相当額の休業特別支給金が支給されます。また、休業補償給付(休業給付)は同じ理由で厚生年金や国民年金が支給される場合は一定率減額されます。

傷病補償年金と傷病年金

傷病補償年金は仕事中に起こった事故が原因の怪我や、仕事が原因で起こった病気が原因で労働者が療養を始めてから1年6ヶ月経った日において、ケガや病気が治っておらず、傷病等級の1級〜3級に該当している場合に支給されます。傷病年金は通勤途中の事故によるものをいいます。1級は常時介護を要する状態、2級は随時介護を要する状態、3級は常態として労務不能の状態とされています。

さらに傷病補償年金(傷病年金)の受給権者にはその申請に基づいて傷病特別支給金と傷病特別年金が支給されます。また、同じ理由で厚生年金や国民年金が支給される場合は傷病補償年金 ( 傷病年金 ) が一定率減額されます。




障害補償給付と障害給付

障害補償給付とは仕事中に起こった事故が原因の怪我や、仕事が原因で起こった病気が治ったけれども、身体に障害が残った場合に給付されます。障害給付は通勤途中の事故によるものをいいます。給付はケガや病気が治ったときに障害等級の1級から14級に該当する場合におこなわれます。障害等級の1級〜7級に該当する場合は障害補償年金(障害年金)、8級から14級に該当する場合は障害補償一時金(障害一時金)が支払われます。

これに加えて、障害補償年金 ( 障害年金 ) の受給権者の申請によって障害特別支給金と障害特別年金 ( 差額一時金 ) または障害特別一時金が支給されます。また、障害補償給付 ( 障害給付 ) は同じ理由で厚生年金や国民年金が支給される場合は一定率減額されます。年金とは毎年一定金額が給付される給付金のことで、一時金は一度きりの給付のことをいいます。


遺族補償給付と遺族給付

遺族補償給付とは仕事中に起こった事故が原因の怪我や、仕事が原因で起こった病気が原因で労働者が死亡した場合に支払われるものです。遺族給付は通勤途中の事故によるものをいいます。遺族補償年金(遺族年金)と遺族補償一時金(遺族一時金)があり、遺族補償一時金は遺族補償年金の受給資格者(一定条件にあてはまる受取人)がいない場合などに支払われます。

遺族補償給付 ( 遺族給付 ) の受給権者にはその申請によって遺族特別支給金と遺族特別年金または遺族特別一時金が支給されます。また、同じ理由で厚生年金や国民年金が支給される場合は遺族補償給付(遺族給付)は一定率減額されます。受給資格者とは労働者の死亡当時、その収入によって生計を維持していた以下の者です。

受給できるのは受給資格者のうち順位が一番高い者 ( 受給権者 ) だけです。若年支給停止者は受給権者となっても60歳になるまで給付を受けることはできません。受給権者が死亡や再婚するなどして資格を失った場合は次の順位の者が新しい受給権者となります。


順位 遺族 年齢・障害の条件
@ 配偶者
(内縁含む)
無条件
A 60歳以上または一定の障害がある
B 子供 18歳の年度末までまたは一定の障害がある
C 父母 60歳以上または一定の障害がある
D 18歳の年度末までまたは一定の障害がある
E 祖父母 60歳以上または一定の障害がある
F 若年

支給

停止者
兄弟姉妹 18歳の年度末までまたは一定の障害がある
G 55歳以上60歳未満
H 父母
I 祖父母
J 兄弟姉妹




葬祭料と葬祭給付

葬祭料とは仕事中に起こった事故が原因の怪我や、仕事が原因で起こった病気が原因で労働者が死亡した場合に労働者の遺族などに対して支払われるお葬式代です。葬祭給付は通勤途中の事故によるものをいいます。


介護補償給付と介護給付

障害補償給付(障害給付)または傷病補償年金(傷病年金)を受ける権利がある者が常時または随時介護を要する状態であり、かつ現に介護を受けている場合に、労働者の請求によって支給されます。


不服申し立て

労働者が仕事中または通勤途中のケガ、死亡、仕事内容が原因で起こった病気などの認定や療養の方法、保険給付額の決定などに対して不満がある場合、不服申し立てによってその変更を訴えることができます。不服申し立ての方法は以下のように3段階あります。労働者災害補償保険審査官は各都道府県労働局に置かれており、労働保険審査会は厚生労働省に厚生労働大臣から任命された9人の委員で組織されています。

保険給付の決定
(結果に不満)
労働者災害補償保険審査官に審査請求する
(結果に不満)
労働保険審査会に再審査請求する
(結果に不満)
裁判所に提訴する


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